文部科学省・厚生労働省・経済産業省が発表した「インターンシップの推進に当たっての基本的な考え方」(3省合意)によって、従来の短期インターンシップの名称がオープンカンパニーやキャリア教育という名称に変更されました。
「オープンカンパニーって何?」
「インターンシップと何が違うの?」
「自社ではどちらを行えばいいのだろう」
このように、オープンカンパニーとインターンシップの違いについて翻弄されている採用担当者様もいらっしゃるかと思います。
本記事ではインターンシップ導入について興味があり、知識をつけたい企業様に向けてオープンカンパニーとインターンシップの違いについて紹介します。是非、最後までご一読ください。
オープンカンパニーとインターンシップの違い

企業が人材採用のために行う手法にはさまざまなものがありますが、その中でも「オープンカンパニー」と「インターンシップ」はよく比較される2つの手法です。
それぞれの目的やメリット、デメリット、企業と学生に与える影響についての違いを明確にし、より効果的な採用活動に繋げていきましょう。
オープンカンパニーとは
オープンカンパニーとは、企業が自社の事業内容や職場環境を幅広い学生に公開するイベントのことです。企業の魅力を伝えるための広報活動として位置付けられています。
目的とメリット(企業側)
- 企業認知度の向上:
オープンカンパニーを通じて、企業は幅広い学生に自社を知ってもらうことができ、特に知名度が低い企業にとっては、自社の存在をアピールする良い機会とすることができます。 - 企業文化の共有:
社内見学や社員との交流を通じて、企業の文化や価値観を直接伝えることができます。これにより、学生が企業の価値観とマッチしているかを確認することができ、ミスマッチのリスクを減らすことができます。 - 採用の効率化:
多くの学生に対して一度にアプローチできるため、採用活動の効率を上げることができます。また、興味を持った学生がその後の選考に進むため、採用コストの削減にもつながります。
デメリット(企業側)
- リソースの消耗:
イベントの準備や運営には多くのリソースが必要です。特に小規模な企業にとっては、人的資源や時間の負担が大きくなる可能性があります。 - 情報の非対称性:
短時間で多くの情報を伝えるため、詳細な業務内容や企業文化を十分に理解してもらうことが難しい場合があります。そのため、学生が実際に入社してからギャップを感じてしまうというリスクもあります。
目的とメリット(学生側)
- 業務内容の把握:
企業が行っている業務の詳細を知ることができます。これにより、自分のスキルや興味と企業の業務内容が一致するかどうかを確認することができます。 - 社員との交流:
オープンカンパニーでは、企業の社員と直接交流する機会が多くあります。社員との会話を通じて、実際の働き方やキャリアパスについて具体的な話を聞くことができます。 - 具体的なキャリアの確認:
企業の各部門や職種について詳しく知ることで、自分がどの部門や職種で働きたいかを具体的に考えることができます。将来のキャリアを描く際の重要な情報源となります。
デメリット(学生側)
- 移動時間と費用:
オープンカンパニーは通常、企業のオフィスで開催されるため、参加するためには移動が必要です。特に地方から都市部の企業へ参加する場合、交通費や宿泊費がかかることがあります。 - 参加者の多さ:
人気企業のオープンカンパニーには多くの学生が参加するため、競争が激しくなります。特に質問や交流の時間が限られている場合、他の参加者との競争で自分の質問や意見を十分に伝えられないことがあります。
オープンカンパニーは企業と学生双方にとってメリットが多い反面、リソースの消耗や情報の非対称性などのデメリットも存在します。
学生や企業は、これらを理解した上で参加、開催することで、お互いにとってより有意義な時間を過ごし効果的な採用を狙っていきましょう。
インターンシップとは

インターンシップは、学生が一定期間企業で実務経験を積むプログラムです。企業にとっては、将来的な採用を見据えた人材の育成や選考の一環として位置付けられることが多いです。
目的とメリット(企業側)
- 実務経験の提供:
学生に実務経験を提供することで、実際の業務内容を理解してもらうことができます。これにより、学生は自身の適性や興味を確認することができ、企業にとってもミスマッチを防ぐことができます。 - 長期的な評価:
インターンシップを通じて、企業は学生の能力や人柄を長期的に評価することができます。これにより、採用の際により確実な判断が可能となります。 - 即戦力の育成:
インターンシップを経験した学生は、入社後すぐに即戦力として活躍することが期待できます。企業文化や業務フローに既に慣れているため、研修期間を短縮することができます。
デメリット(企業側)
- 指導コスト:
インターンシップには学生の指導や育成が必要であり、これには時間やコストがかかります。特に短期間のインターンシップの場合、十分な成果が得られないこともあります。 - 定着率の不確実性:
インターンシップを経験しても、必ずしもその企業に就職するとは限りません。優秀な学生を他社に奪われるリスクもあります。
目的とメリット(学生側)
- スキルの習得:
インターンシップを通じて、実際の業務に携わることで、実践的なスキルを習得できます。例えば、マーケティングインターンではデータ分析や広告運用のスキルを身につけることができます。 - 長期的なキャリアビジョンの確立:
インターンシップで得た経験やスキルを基に、長期的なキャリアビジョンを形成することができます。具体的なキャリアプランを描く際に、実務経験が非常に役立ちます。
”私もインターンに参加して実際に働いたうえで将来を考えることで、将来のビジョンをより具体的に想像できるようになりました(^.^)” - 面接対策:
インターンシップの経験を基に、具体的なエピソードを持って面接に臨むことができます。実際の業務経験に基づいた話は、面接官に対して強い印象を与えることができます。
デメリット(学生側)
- キャリア選択の迷い:
インターンシップでの経験が思っていたものと違った場合、キャリア選択に迷いが生じることがあります。自分に合う職種や業界が分からなくなり、不安が増すことがあります。 - 他のインターン生との競争:
人気企業のインターンシップでは、多くの学生が参加するため、競争が激しくなります。他のインターン生との競争で、自分の存在感を示すことが難しい場合があります。
インターンシップは実践的な経験の提供による即戦力の獲得や採用する際の迷いがなくなるといったメリットがある分、コストがかかる、学生に選択の迷いを与えてしまうと言ったデメリットも存在します。
それらを考慮した上でインターンを設計していきましょう。
オープンカンパニーとインターンシップの比較

オープンカンパニーとインターンシップの違いを見てきましたが、ここからはより具体的に比較していきましょう。
目的の違い
- オープンカンパニー: 主に企業の認知度向上や企業文化の紹介を目的としています。短期間で学生にアプローチするための手法です。
- インターンシップ: 学生に実務経験を提供し、将来的な採用を見据えた評価を行うことを目的としています。より深い理解と長期的な関係構築が目指されます。
対象の違い
- オープンカンパニー: 主に広く多くの学生を対象としています。イベント形式で、多人数が参加することが一般的です。
- インターンシップ: 一定の選考を通過した学生を対象とし、少人数で行われることが多いです。特定のスキルや適性を持つ学生に焦点を当てます。
期間の違い
- オープンカンパニー: 短期間(1日から数日)で行われます。一度のイベントで終わることが一般的です。
- インターンシップ: 数週間から数ヶ月にわたる長期的なプログラムです。学生は一定期間、企業で実務を経験します。
企業にとっての利点
- オープンカンパニー: 広く一般にアピールすることで、知名度の向上や新しい人材の発掘に繋がります。比較的短期間で結果が見える点が利点です。
- インターンシップ: 学生の実務能力や適性を長期間にわたって評価できるため、より確実な採用が可能となります。また、入社後の即戦力として期待できる点も大きなメリットです。
オープンカンパニーとインターンシップの主な比較
項目 | オープンカンパニー | インターンシップ |
---|---|---|
期間 | 短期間(1日〜数日) | 長期間(数週間〜数ヶ月) |
目的 | 企業理解、職場見学 | 実務経験、スキル習得、関係構築 |
参加方法 | 比較的自由、選考なし | 選考ありの場合が多い |
報酬 | 基本的になし | 有給の場合あり |
内容 | 説明会、オフィスツアー、社員との交流 | 実際の業務、プロジェクト参加 |
対象者 | 広く多くの学生 | 一定の選考を通過した学生、少人数 |
オープンカンパニーとインターンシップを開催する際の注意点

オープンカンパニーやインターンシップは、企業にとっても学生にとっても重要なイベントです。成功させるためには、以下のような準備と運営のポイントを押さえておくことが重要です。
オープンカンパニー
- 準備の徹底: 参加者に対して魅力的なプログラムを提供するために、詳細なスケジュールと内容を事前に準備することが重要です。
- 社員の協力: 社員が積極的に参加し、実際の業務や企業文化について詳しく説明することで、参加者の理解が深まります。
- フォローアップ: イベント後のフォローアップを行い、参加者のフィードバックを収集し、今後の改善に活かすことが大切です。
インターンシップ
- 適切なプロジェクト選定: インターンシップの参加者が実際に価値ある経験を得られるよう、適切なプロジェクトやタスクを選定することが重要です。
- 指導とサポート: インターン生に対して適切な指導とサポートを提供し、学びの機会を最大限に活用できるようにします。
- 明確な目標設定: インターンシップ期間中の目標を明確に設定し、参加者が達成感を持てるようにします。
オープンカンパニーとインターンシップを成功させるためには、事前準備、社員の協力、フォローアップなどが重要です。
オープンカンパニーでは詳細なスケジュールと社員の積極的な参加が求められ、インターンシップでは適切なプロジェクト選定と指導、明確な目標設定がポイントとなります。
これらを正しく理解し、今後開催する際の判断材料にしましょう。
まとめ
オープンカンパニーとインターンシップは、どちらも企業の採用活動において重要な役割を果たしますが、それぞれ目的やアプローチが異なります。オープンカンパニーは広く認知度を高めるための短期的なイベントであり、インターンシップは長期的な人材育成と評価を目的としたプログラムです。
企業はこれらの違いを理解し、自社の採用戦略に応じて最適な手法を選択することが重要です。
学生目線を意識したプログラムに興味をお持ちのご担当者様
当社では現役大学生のリアルな就業体験をもとにインターンシップの企画・設計をご支援しております。
一度作成させていただいたプログラムは翌年以降にも無料でご利用いただけますので、
採用を強化したいタイミングで是非、プロへの相談をご検討ください。

著者
原田尊
株式会社Motivateインターン生。近畿大学3年。インターンシップに参加することと導入していただくことの有用性を広めるために活動中。趣味は運動とアニメ鑑賞
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